top of page
お問い合わせ

お気軽にご相談ください

「何から始めたらいいかわからない」という方も、まずはお話だけでも構いません。

お問い合わせ

「もしものとき」を一人で抱えない――身寄りのない高齢者のための見守り(定期訪問)サービス

執筆者の写真: 行政書士HERO
行政書士HERO
6月27日
読了時間: 8分

はじめに――日常の中にある、小さな不安

最近、階段の上り下りが少しきつくなってきた。

風邪をこじらせたとき、病院に連れて行ってくれる人がいない。

もし夜中に体調が急変しても、気づいてもらえるだろうか。

こうした不安は、大げさなものではありません。一人暮らしを続ける高齢者の多くが、日常のどこかで感じている、静かな心配事です。

病院の入院手続きで「緊急連絡先を記入してください」と言われたとき、書ける名前がない。介護サービスの事業者から「ご家族はいらっしゃいますか」と聞かれるたびに、返答に詰まる。そうした場面が積み重なることで、将来への漠然とした不安が大きくなっていく方もいます。

この記事では、そうした日常的な不安に対応するための見守り(定期訪問)サービスについて、関連制度との違いも含めながら整理します。


なぜ「見守り」が抜け落ちやすいのか

高齢単身世帯の増加と地域のつながりの変化

高齢者の単身世帯は、今後も増加傾向が続くと見込まれています。かつては地域コミュニティや近隣との付き合いが、非公式な見守りの役割を担っていました。しかし現代では、都市部を中心に、隣人の顔も知らないという環境が珍しくなくなっています。

家族のかたちも多様化しています。子どもがいても遠方に住んでいたり、長年疎遠だったりすれば、日常的な見守りを期待することは難しい場合もあります。

制度はあっても、日常の「気にかけ」には届かない

介護保険制度や福祉サービスは、一定の条件を満たした方に対して、必要な支援を提供する仕組みです。しかし、「まだ介護認定を受けるほどではないが、少し心配」という段階では、公的サービスの対象になりにくいことがあります。

制度の網の目からこぼれ落ちる、「元気だけれど一人は不安」という段階への対応が、現状では手薄になりがちです。

任意後見制度との関係

将来の判断能力低下に備える制度として、前回の記事でご紹介した任意後見制度があります。しかし任意後見は、判断能力が実際に低下してからでないと効力が発生しません。

「まだ判断能力はしっかりしているが、一人でいることに不安がある」という時期に対応する仕組みが、別途必要になります。見守り(定期訪問)サービスは、まさにこのギャップを埋めるものです。


見守り(定期訪問)サービスとは何か

サービスの基本的な位置づけ

見守り(定期訪問)サービスとは、定期的に本人の様子を確認し、日常の不安や困りごとの相談窓口となるサービスです。

法律上は、民法上の委任契約として締結されます。内容は当事者間で自由に設計できますが、だからこそ契約書に具体的な内容を明記することが重要になります。

行政書士が受任者となる場合、法的な知識を持った専門家が継続的に関与するという点で、単なる知人への依頼とは異なる安心感があります。また、将来の任意後見契約や死後事務委任契約への橋渡し役を担うことができます。

定期訪問サービスの内容

毎月1回の訪問・お電話で、日常のお困りごとに寄り添います。

●お元気かどうかの確認

毎月1回、お電話またはご訪問でご様子をうかがいます。お電話のみも可能です。回数のご相談もお受けします。ご希望があれば、ご家族へのご報告もいたします。

●くらしの相談

日々の不安やお困りごとをお聞きします。「物忘れが心配」「病院に行くべきか迷っている」「お金や契約のことが不安」「手続きがわからない」など、どんなことでもお話しください。必要に応じて、医療や介護につなげるお手伝いもします。

●詐欺から身を守るお手伝い

「家族を名乗る電話が来た」「身に覚えのない請求書が届いた」「還付金の電話があった」「強引な訪問販売があった」など、あやしいと感じたことはすぐにご相談ください。一緒に確認します。

ただし、医療行為や身体介護は行政書士の業務範囲外です。あくまで「確認・相談・連絡」を中心としたサービスであることを理解しておく必要があります。

このような方におすすめです

  • おひとり暮らしで、ちょっとしたことを相談できる人がいない方

  • ご家族が遠方にいて、親御さんの様子が心配な方

  • 「定期的に様子を見てほしい」とお考えの方

  • 詐欺被害が心配な方・過去にあやしい連絡があった方


見守り(定期訪問)サービスと他の制度との違い

見守りと任意後見の違い


見守り(定期訪問)サービス

任意後見

対象時期

判断能力がある段階

判断能力低下後

主な内容

定期確認・くらしの相談・詐欺対策

財産管理・身上監護の代理

家庭裁判所の関与

なし

監督人選任が必要

法的な代理権

原則なし(委任の範囲で)

契約で定めた代理権あり

見守り(定期訪問)サービスは、日常的な「気にかけてもらえる関係性」を法的に整えるものです。任意後見は、判断能力が低下した後の「本人に代わって動く権限」を事前に設定するものです。この二つは対象とする時期と役割が異なるため、組み合わせて利用することが多くなります。

見守りと死後事務委任の違い

死後事務委任契約は、亡くなった後の葬儀・遺品整理・各種解約などを受任者に委ねるものです。見守り(定期訪問)サービスが「生きている間の日常の確認・相談」を対象とするのに対し、死後事務委任は「亡くなった後の実務」を対象とします。

見守りから死後事務まで同一の専門家が関与することで、本人の意思や生活状況を継続的に把握した上でのサポートが可能になります。

見守りと身元保証契約の違い

身元保証契約は、入院・入所の際に「保証人」としての役割を担う契約です。金銭的な保証や身柄の引き受けを含む場合があり、法的な責任の重さが異なります。

見守り(定期訪問)サービスは、身元保証とは異なります。「緊急連絡先」としての登録は対応できる場合がありますが、保証人としての法的責任を負うかどうかは、契約内容と受任者の方針によります。混同しないよう、事前に確認することが重要です。


手続きの流れと注意点

ステップ① 事前相談・ご様子のヒアリング

まず、現在の生活状況、健康状態、家族関係、不安に感じていることなどを丁寧に聞き取ります。どのような場面でサポートが必要かを具体的に整理することが、サービス設計の出発点になります。

ステップ② 契約内容の設計・締結

訪問または連絡の頻度、ご様子確認の方法、ご家族への報告の有無などを契約書に明記します。「何かあったときによろしく」という口約束ではなく、具体的な内容を文書化することが重要です。

費用についても、事前に明確にしておく必要があります(詳しくは料金詳細をご覧ください)。

ステップ③ ご家族・関係機関との情報共有

ご家族がいる場合には、ご様子の報告方法についても、契約時に確認しておくことをお勧めします。

ステップ④ 定期的な訪問・お電話と関係性の継続

見守り(定期訪問)サービスは、締結して終わりではありません。毎月の訪問・お電話を通じて関係性を継続することが、サービスの実効性を高めます。また、生活状況の変化に応じて、任意後見契約の発動や死後事務委任の準備など、次のステップへの移行を適切なタイミングで検討します。


よくある失敗例

口約束のみで終わるケース

「知人に頼んである」「近所の方が気にかけてくれている」という場合でも、法的な契約がなければ、相手方に義務は生じません。緊急時に動いてもらえる保証がないだけでなく、責任の所在が曖昧になります。

訪問・連絡の内容が漠然としているケース

「何かあったら連絡する」という程度の内容では、実際の場面で機能しないことがあります。どのくらいの頻度で、どのような方法で確認するかなど、具体的な場面を想定した設計が必要です。

一人の支援者に集中しすぎるケース

支援者が体調を崩したり、先に亡くなったりするリスクがあります。バックアップ体制についても、事前に考えておくことが望ましいです。

制度の重複や抜け漏れ

見守り(定期訪問)サービス・任意後見・死後事務委任のそれぞれが、対象とする時期と内容が異なります。どれか一つで「全部カバーできる」と思い込むと、対応できない場面が生じることがあります。全体を見渡した設計が重要です。


専門家としてのアドバイス

「早すぎる」ということはない

見守りは、介護が必要になる前から始めることができます。むしろ、元気で自分の意思をしっかり伝えられる段階から関係性を築いておくことが、いざというときの支援の質を高めます。

制度は組み合わせて設計するもの

見守り(定期訪問)サービス・任意後見・死後事務委任・遺言書。これらは、それぞれ対象とする時期と役割が異なります。現在の状況と将来の見通しをもとに、何をどの時期にカバーするかを全体像として設計することが、備えの本質です。

「定期的に気にかけてもらえる」という安心感

専門家との間で、明確な内容のサービスが存在するということは、それ自体が安心の根拠になります。「誰かに頼んである」という感覚ではなく、「毎月決まって様子を見てもらえる」という確かさが、日常の安心感につながります。

関係性は時間をかけて育まれる

緊急時に本当に頼りになるのは、普段から顔を合わせ、状況を把握している人です。見守りにおいて、継続的な関わりを通じて信頼関係を築いていくことは、サービスの内容と同じくらい大切なことです。


おわりに――制度を知ることが、安心の第一歩

見守り(定期訪問)サービスは、「まだ介護は必要ないが、将来が少し不安」という段階にある方に、特に有用な備えのひとつです。

「自分には大げさかもしれない」と感じている方も、サービスの仕組みを知るだけで、選択肢が広がります。今の生活に少しでも不安を感じている方は、まずは内容についてのご説明だけでも、お気軽にお問い合わせください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的判断を提供するものではありません。具体的なご状況については、専門家へのご相談をお勧めします。

コメント


bottom of page